男性のケーゲル体操とは?やり方と回数の目安
参考にした論文や資料は記事の最後に載せています。編集方針
ケーゲル体操は、骨盤の底にある骨盤底筋を締める・ゆるめるをくり返す体操です。何のための体操なのか、男性がやる意味から、場所の見つけ方、基本の手順と回数まで、この記事で順に説明します。

ケーゲル体操は、骨盤の底にある骨盤底筋を、締める・ゆるめるをくり返して鍛える体操です。1948年に米国の医師アーノルド・ケーゲルが尿もれの治療として広めたのが始まりで、男性では前立腺の手術後の尿もれのほか、EDや早漏との関係も研究されています。道具はいらず、1日3回・数分でできます。
ケーゲル体操とは
ケーゲル体操は、骨盤底筋トレーニングの別名です。米国の医師アーノルド・ケーゲルが1948年に論文で発表し、筋肉の締まり具合を測る器具を使いながら、尿もれのある患者に指導したのが始まりとされています。
その後、男性にも同じ筋肉があることから、前立腺がんの手術後の尿もれのリハビリとして広く使われるようになりました。米国のメイヨー・クリニックや、がんの専門病院であるメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターも、男性向けのやり方を紹介しています。
骨盤底筋はどこにある?
骨盤底筋は、骨盤の底で恥骨から尾骨までハンモックのように張っている筋肉のグループです。膀胱や前立腺を下から支え、尿道や肛門を締めます。男性では陰茎の付け根にもつながっていて、「PC筋(恥骨尾骨筋)」と呼ばれることもあります。
ゆるめた状態
締めた状態
男性がやる意味
骨盤底筋は、男性では次の3つにかかわっています。
- 排尿:尿道を締めて、尿がもれないようにする。
- 勃起:陰茎の付け根を囲み、勃起したときに血液が戻りにくくする働きにかかわる。
- 射精:射精のときにリズミカルに縮む。
そのため、EDや早漏との関係も調べられてきました。EDでは、英国の55人の比較試験で、3か月続けたグループの40%で勃起機能の評価が正常になったと報告されています(Dorey ら、2004年)。早漏では、生涯型の40人が12週間続けたイタリアの研究で、33人が射精をコントロールできるようになったと報告されています(Pastore ら、2014年、比べるグループのない研究です)。どちらも小規模な研究で、全員に同じ結果が出るとは限りません。
研究の数字は骨盤底筋を鍛えると、何が変わる?で詳しく紹介しています。
場所の見つけ方
- おならをがまんするように、肛門をきゅっと締めて引き上げる。
- 尿を途中で止める感覚をイメージする(場所の確認に1回試すのはかまいませんが、排尿中に止める練習をくり返すのはおすすめしません。尿が膀胱に残りやすくなり、尿路感染症のリスクが上がることがあるためです)。
- 鏡で見ると、締めたときに陰茎の付け根がわずかに持ち上がります。
米国のがん専門病院MSKCCの患者向け資料でも、同じ手がかりと「お腹・脚・お尻を使わない」「息を止めない」ことが挙げられています。
基本のやり方
- あお向けに寝て膝を立て、肩と腰の力を抜きます。
- 息を吐きながら、肛門と尿道のまわりを体の内側へ引き上げるように締めます。
- 締めたまま、普通に呼吸を続けます。息は止めません。
- 同じ時間かけて、ゆっくり力をゆるめます。ゆるめる動きも練習の一部です。
- これを8〜10回くり返して1セット。慣れたら、1秒ずつ素早く締める「速い収縮」も加えます。
回数と期間の目安
決まった正解はありませんが、1日3回、1回2〜3分を毎日続け、締める秒数を12週間かけて少しずつ延ばすのが一つの目安です。アプリでも同じ考え方で強さを上げています。
| 時期 | 1回分のリズム(1日3回) |
|---|---|
| 1〜2週 | 3秒 締める3秒 ゆるめる× 10回・1セット |
| 3〜6週 | 6秒 締める6秒 ゆるめる× 10回・1セット |
| 7〜12週 | 10秒 締める10秒 ゆるめる× 8回・1セット |
1〜2週目は3〜5秒、3〜6週目は5〜7秒、7〜12週目は8〜10秒が目安です。研究の多くは12週間(約3か月)続けた結果を評価しています(ケーゲル体操の効果はいつから?)。自分に合う頻度は1分セルフチェックで目安がわかります。筋肉が疲れると正しく締められなくなるので、回数を増やすより「正しく・毎日」を優先してください。慣れてきたら座って・立って・スクワットにも広げましょう。有酸素運動や筋トレとの組み合わせ方は男性の運動プランで紹介しています。
よくある間違い:尿を止めて鍛える方法はおすすめしません
「排尿中に尿を止めて鍛える」という方法を見かけますが、場所を確かめるために1回試す以上はおすすめしません。排尿の途中で止めると膀胱が空になりきらず、尿が膀胱に残りやすくなり、尿路感染症のリスクが上がることがあるためです(米国 Mayo Clinic の解説より)。ほかにも、次のような間違いがよくあります。
- 息を止める。お腹に圧がかかり、骨盤底を押し下げてしまいます。
- お尻や太ももを締める。大きな筋肉で代わりに締めてしまい、骨盤底筋が使えていません。
- お腹に力を入れていきむ。締めるのとは逆向きの力です。
- ゆるめるのを忘れる。締めっぱなしは疲れや痛みの原因になります。
よくある質問
ケーゲル体操とは何ですか?
骨盤の底にある骨盤底筋(PC筋とも呼ばれます)を、締める・ゆるめるをくり返して鍛える運動です。1948年に米国の医師アーノルド・ケーゲルが広めたことからこの名前があり、男性の勃起や射精にかかわる筋肉のトレーニングとしても研究されています。
ケーゲル体操は男性もやっていいのですか?
はい。骨盤底筋は男性にもあり、勃起や射精、排尿にかかわっています。前立腺の手術後の尿もれのリハビリとしても使われていて、EDや早漏との関係も研究されています。
骨盤底筋の場所はどうやって確かめますか?
「おならをがまんする」ときに肛門を締めて引き上げる筋肉が骨盤底筋です。鏡で見ると、締めたときに陰茎の付け根がわずかに持ち上がります。お腹・お尻・太ももに力が入らず、肛門のまわりが体の内側へ引き上がる感覚があれば、正しい場所を使えています。
1日にどれくらいやればいいですか?
数秒締めて同じ時間ゆるめる動きを8〜10回で1セットとし、1日3回(朝・昼・夜など)が目安です。慣れないうちは1日1〜2回から始めてもかまいません。EDや早漏を対象にした研究の多くも、毎日のトレーニングを12週間(約3か月)前後続けています。
やってはいけないことはありますか?
次の4つはおすすめしません。息を止める(お腹に圧がかかり骨盤底を押し下げるため)、お腹やお尻に強く力を入れる(骨盤底筋の代わりに大きな筋肉を使ってしまうため)、排尿中に何度も尿を止める練習をする(尿が膀胱に残りやすくなるため)、痛みがあるのに続ける(体を傷める可能性があるため)。手術後の方は、始める前に担当の医師に確認してください。
変化を感じるまでどれくらいかかりますか?
研究の多くは、12週間(約3か月)前後の継続で評価しています。感じ方には個人差が大きく、期間を過ぎても変化がない場合や悩みが続く場合は、泌尿器科やメンズクリニックに相談してください。
参考文献
- Memorial Sloan Kettering Cancer Center. Pelvic Floor Muscle (Kegel) Exercises for Males.医療機関原文を見る閲覧日 2026年10月13日
- Mayo Clinic. Kegel exercises for men: Understand the benefits.医療機関原文を見る閲覧日 2026年10月13日
- The Embryo Project Encyclopedia. Arnold Henry Kegel (1894–1972). Arizona State University.資料原文を見る閲覧日 2026年10月31日
- Dorey G, et al. Randomised controlled trial of pelvic floor muscle exercises and manometric biofeedback for erectile dysfunction. Br J Gen Pract. 2004;54(508):819-825.論文(PubMed)原文を見る閲覧日 2026年10月31日
- Pastore AL, et al. Pelvic floor muscle rehabilitation for patients with lifelong premature ejaculation: a novel therapeutic approach. Ther Adv Urol. 2014;6(3):83-88.論文原文を見る閲覧日 2026年10月31日
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